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白沙村荘夏季展 2025 「小満から立秋へ」

「小満から立秋へ」展示品リスト MUSEUM Ⅰ

《糸瓜図画賛 へちまずがさん1908年頃 絹本着色 / 橋本海関(関雪父) Thread melon/ Color on silk / Hanging scroll / Hashimoto Kaikan)
・(賛文) 「即過三春蔓自連 薫風明葉既籬前 廬山李白客何篇 不似銀河落九天」
(三春さんしゅんを過ぎれば蔓自つるおのずずから連なり 薫風明葉既くんぷうようめいすでに籬まがきの前たり廬山ろざんに李白りはくや客たらば何篇なんへんぞ 銀河に似ざれども九天きゅうてんより落つ )
:関雪の父である海関の作。庭前に成った大糸瓜を滝に見立てて、李白の「望廬山瀑布」を引用した漢詩を添えている。

《鍾馗図 しょうきず(1939年 絹本着色軸装 Shōki the Plague-Queller/ Color on silk / Hnaging scroll)
・(賛文) 「民敝兵驕竟奈何 皇叔無労入謡歌 請将君剣唯當掃 白日横行魅魍多」
(民敝たおれ兵驕るは竟ついに奈何いかんせん 皇叔こうしゅく労無く謡歌入る請うに将まさに君剣くんけんをもって唯だ掃に當あたらんとす 白日横行魅魍はくじつおうこうみもう多し。)
:少し珍しい風貌の関帝にも似たイメージの鍾馗像。賛文は関雪自作の詩。

《牡丹図併詩 ぼたんずへいし(1941年 紙本着彩軸装 Peony/ Color on paper / Hanging scroll)
(賛文)「黄河沙数 菩薩の倚し 牡丹哉」
:関雪の愛妻、よね夫人は非常に牡丹が好きであったということで、白沙村荘にも牡丹園が作られていたという。
牡丹の開花時期はちょうど夫人の命日に近く、この作品もそれ
にちなんだ形で製作された物なのかもしれない。

《雨意 うい1944年 紙本着彩軸装 Sign of rain/ Color on paper / Hanging scroll)
:梅の木に止まる一羽の虎鶫が何かに気づいたように顔を上げる。梅雨時、俄にわかにかき曇る空に雨の気配を感じる一瞬の情景。
背景に水を多く含んだ墨が幅広に掃かれ、雨模様の空
の暗さと暖気を含んだ梅雨時の重たい空気感が表現されている。

《達磨大師 だるまたいし1902年 紙本着色 /  BodhidharmaColor on paper / Hanging scroll )
:19歳の頃の関雪による作品。若年期の作品はあまり数多くは確認されておらず、10代のものであるとされるのはわずか4点程度。
この頃の関雪
は、神戸と東京を主として日本絵画協会での活動を行なっていた。
本作は、その後京都へ向かう直前に、席上揮毫として描かれたのではないかと考えられている。

《暮韻 ぼいん1934年 絹本着色  TwilightColor on silk / Hanging scroll )
水牛の題材は大陸外遊時に見た風景を元として、帰路に着く牛飼いの姿が大正期に多く描かれた。
その後、描写をさらに洗練した《暮韻》が描かれ、昭和天皇が丑年であったことからか、宮内庁がそれを買い上げ三の丸尚蔵館に収蔵している。
本作はそれを1尺(33.3cm)小さくした3尺の類作というべき存在である。

《鳴滝 なるたき1940年 絹本着彩軸装 Narutaki Acalanatha/ Color on silk / Hanging scroll)
鳴滝に顕現した黄不動の尊容を描いた作品。
智証大師円珍の不動明王感見の逸話に
基づいた考証か、身体のみならず身に付ける瓔珞や臂釧、腕釧は全て金彩で描かれており、
剣に纏う倶利伽羅龍王の姿も金色の焔とされて、緑色の条帛や腰に巻いた赤帯との色彩の対比がとても美しく感じる。

《江上遇雨 こうじょうぐうう(1912年 絹本着彩軸装 / 山水人物十二幅対の一幅 Sudden rain/ Color on silk / Hanging scroll)
:渓流を下る舟の画題には、よく驟雨の場面が用いられる。突然強く降り始める雨に靄がかる山の景色。それに伴って吹く山風など。
それらもまた、自然の営みを愛する文人にとっての風趣そのものなのである。

《奔湍翡翠 ほんたんひすい1943年 紙本着色軸装 King fisher/ Color on paper / Hanging scroll
:九十九折つづらおりに流れる滝の前を飛来する翡翠かわせみの姿を捉えた作品。滝は墨のみで描き出され、画面外の左右端で折り返しながら流れている。
白沙村荘にも翡翠が遊びに来るので、運が良ければ魚獲りの名人芸を見ることができるかもしれない。

《宿舎の灯 しゅくしゃのひ1907年 絹本着色額装 The lights of the dormitory/ Color on silk / Panel)
:1906年に関雪は、満州軍総司令部嘱託の画家として日露戦争に従軍していた。
旅順から奉天に至るまでの道中、関雪は馬丁や兵士達の姿を克明にスケッチしており、この作品もまたその中から生まれた物であった。
後年に描かれた《木蘭詩》の従軍
描写にも、その時の取材が十分に生かされている。

《米法山水 べいほうさんすい(1745〜1820年 紙本墨画軸装 / 浦上玉堂 Landscape painting in the Mei Fu style/ Ink on paper/ Hanging scroll/ Urakami Gyokudo)
:江戸期の文人画家、浦上玉堂の作に関雪が賛文を追加したもの。白沙村荘には関雪が収集した「養老」という玉堂自作の琴も残されている。

《鳴泉図 めいせんず(1618〜1689年 紙本墨画軸装  / 龔賢 The sound of the fountain/ Ink on paper / Hanging scroll / Gong Xian)
:龔賢は中国・明末清初期の画家で江蘇省崑山の人。金陵(南京)に住んだ八人の名手、いわゆる「金陵八家」を代表する文人画家である。
清朝に対する反抗の意思を絵筆に託し
た明の遺民画家の一人として孤高の精神を持ち清貧に甘んじながら、抽象山水とも言える極めて個性的な山水画を描いた。
本作ではその独特な筆致とともに、山から湧き出でて
流れる水の音をも描き出している。

《松泉清聴 しょうりんせいちょう1850年頃 絹本着色 / 橋本文水(関雪祖父) Sound of springColor on silk / Hanging scroll / Hashimoto Bunsui)
関雪の祖父にあたる橋本文水の筆によるもの。文水は明石藩の儒者を務めており、江戸期の文人画としては非常にスタンダードな作風であった。
関雪は自身を慈しみ、非常に可愛がってくれたこの祖父の画風や文人としての矜持などに非常に影響を受け、彼のなどの人生において最後まで
南画的要素を捨てられなかったこともそこに起因しているのであろう。
海関が1894(明治27)年に「先考文水遺墨」と添えて題名をつけている。

《飛瀑図 ひばくず(1923年頃 紙本墨画軸装 Water fall/ Ink on paper / Hanging scroll)
(賛文)「長雷冬不蟄 噴雪夏猶寒」(長き雷なれど冬は蟄ず  雪を噴きて夏猶ほ寒し)

《魚鳶 ぎょえん1920年 絹本着色軸装 Cormorant fishing/ Color on silk / Hanging scroll) 
:墨でダイナミックに描き出される篝火に照らされた鵜の姿。首についた環から日本の鵜飼であると分かる。
中国では孵化の際の刷り込みインプリンティングを利用して、人を親と思わせる
ことにより獲物を巣に運ばせるので環が付けられていない。
「魚鳶」というのは鵜飼の
別名で、他に「烏魚」「水鴉」などの呼称がある。

《柳陰老漁 りゅういんろうりょう(1912年 絹本着彩軸装 / 山水人物十二幅対の一幅 Old fisherman/ Color on silk / Hanging scroll)
:柳の陰の舟上で休む漁師と魚籠に止まっている二羽の鵜。ここでもやはり鵜に環と紐がつけられていて、日本の鵜飼をベースとした描写であることがわかる。

《藤陰読書 とういんどくしょ(1912年 絹本着彩軸装 / 山水人物十二幅対の一幅 Man reading a book/ Color on silk / Hanging scroll)
:藤の作る涼陰で読書をする男性。この男性が誰であり、何の書物を読んでいるのかなどは不明だが、いわゆる「文人」「高士」とされる人物の象徴的な像として描かれているのであろう。

《清暑試茶 せいしょしちゃ(1912年 絹本着彩軸装 / 山水人物十二幅対の一幅 Woman making tea/ Color on silk / Hanging scroll)
:岩に腰掛けて茶を淹れる女性。背景には百日紅が咲き、手に持つ炉扇には檜扇が描かれているので、7月から8月にかけての時期に行われている夕涼みの情景であろうことがわかる。
形が独特な涼炉は他の関雪作品の中にもよく出てくる。

《柳陰洗馬 りゅういんせんば(1917年 絹本着彩軸装 Old man washing a horse/ Color on silk / Hanging scroll)
:水辺で馬を洗う老人。関雪はこの画題を非常に好み、青年期から最晩年までのあらゆる場面で作品に取り上げている。
『東洋画題綜覧』には、「一日の騎乗を訖へて清泉に馬
を洗ひ、或あるいは終日の耕耘に労せし馬を清渓に洗ふ、 亦た詩趣あり画趣あり、
『柳蔭洗馬』
『清渓洗馬』など好箇こうこの画題として描かれてゐる」とあり、夕暮れに一日の労に報いる為に馬を洗っていると記されている。

《蛍図 ほたるず(1922年 絹本裏箔着彩軸装 Firefly/ Color on silk / Hanging scroll)
:しっとりと輝く裏箔うらはく(絹本の裏に金箔)に、鮮やかな松葉緑青まつばろくしょうで描かれた稲の若苗。
そしてその先端には一匹の蛍が止まっている。至ってシンプルな画面構成ながら、その色合いにおいて非常に目を惹く作品である。

☆…新出品・初展示 △…関雪作品以外のコレクションなど

(2025年5月24日現在 ※季節の移り変わりにより展示入れ替えがあります)

※ 画像をクリックすると拡大してご覧になれます。

開催期間 2025.05.24 SAT - 08.11 MON
時間 10:00 - 17:00 最終入館受付 16:00

6月〜8月は毎週火曜休館

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