会期 2025年5月17日(土)〜22日(木)
会場 白沙村荘 大画室 存古楼
董全斌(ドン・チュアン ピィン)
1979年生まれ。 中国河北省張家口市宣化県出身。
河北師範大学美術デザイン学科卒業。卒集後、北京にデザインカルチャーコミュニケ一ション会社を設立。
10年後,景德鎖にて陶芸を始める。
中国陶芸家として景徳鎮でも中国でも特別的な存在である。
作品がオランダ世界博物館、イギリスV&A博物館収蔵
景德鎮の作家·董全斌氏の茶壷(急須)、茶杯、そして素描面の展示会を開催します。
氏の作る茶器は中国の古典的要素と自然に着想を得た細部が合わさる独自の世界観を呈しています。
宜興の紫砂を用いた茶壷は、軸の通った回転体ながら僅かに動く注ぎ口や把手、そして繊細に削られた表面の仕上げなどが有機的な印象を与えます。また蓮弁や植物の実のような茶杯は、模様を通して透ける光が美しく一杯のお茶を神聖な存在に変えてしまいます。氏は大学卒業後に北京でデザインに関わる会社を興し社会的な成功を得ますが、10年を経て一転その生活を捨て、景德鎮に移り住み独学で茶器作りを始めました。自然素材を基にする陶芸が訴えかけているのは人間そのものであり、究極的な問いかけであると言います。その思いで作られた氏の茶器は、お茶を喫する方に物心共に支持され高い評価を得ています。
2021年夏に出版された著書「一人飲み」では、美しい茶器の写真と共に子の考えや技術が惜しみなく公開され、一介の作り手を超えた思想的陶芸家として位置づけられているのです。今はそれに追随する多くの茶器作家が輩出されていますが、その流れとは一線を面し、人気に埋没することなく量産には取り粗みません。同じものを二つ作ることはなく、求道者のごとくひとつひとつを突き詰めています。宜興には熟練の技術を持った作者は多くいますが、氏が求めているのは究極の技術ではなく、茶を通しての物質を超えた精神性であり、文化的メンタ一として多くの人々に影響を及ばしています。
中国のお茶の歷史を振り返れば、唐代に茶経を記した陸羽をはじめ、明清代の文人趣味のお茶が脈々と受け継がれ、日本の茶道や煎茶に大きな影響を与えてきました。また近年の中国では旧来とは違った、より洗練されたスタイルでお茶を嗜む若い人たちが増えています。それは中国の経済発展とともに、文化的な精神性を振り返る機運が高まっていることに起因します。その中でお茶はひとつの象微であり、文学・音楽・詩・教育・商業の中で新たな芸術を求める思いが胎動しているのです。
開催期間 | 2025.05.17 SAT - 22 THU |
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時間 | 10:00 - 17:00 最終受付 16:00 |